東京都大田区の旗竿地に建つ古い木造住宅をリノベーションしました。
建築基準法では、このように路地状の敷地を介して建物を建てる場合は、幅4m以上の道路に対して2m敷地が接している必要があります。
この敷地の場合は、接道している路地状敷地の幅が2mを割ってしまっており、現状のままでは新たに建物を建てることは出来ない為、既存の建物をリノベーションすることとなりました。
既存の建物はもともとクライアントの実家であり、1970年頃に在来工法で建てられた木造2階建ての住宅で、壁内部には土壁が残っていました。
現地を確認した所、周囲を建物に囲まれた旗竿敷地に建っている割に室内が明るく、開口部から効果的に光が取り込まれていました。
ただ、昔は一般的だったキッチンが奥にある間取りが現代の人には抵抗がありそうなのと、部屋が細かく分けられてることでリビングが狭く感じるのがもったいないと感じました。
そこで、1階のリビング、和室、板の間を仕切る壁をなくし、キッチンを移動して広いLDKをつくるプランを考えました。
また、ガラス製のパーテーションとアコーディオンカーテンで仕切られていた廊下とLDKは建具で間仕切ることとし、動線をシンプルにしました。
マテリアルの構成については、耐震補強と意匠を兼ねて外部に面した壁面全体に構造用合板を貼り、薄く木目が出る程度に染色して仕上げました。
リノベーションをしたことで、既存の状態のまま残したサッシが目立ってしまわないように、窓の枠よりも壁を出して隠すようにしました。
そうすることでデザインの要素を減らし、2種類の壁仕上げがあるなかでもスッキリとした印象となりました。
家づくりにこだわり、楽しんでいたというクライアントの父の思いが伝わってくるような家でしたが、その良さを損なうことなく、現代にあった住宅にリノベーションすることが出来たのではないかと思います。