埼玉県さいたま市に建つ二世帯住宅の1住戸をリノベーションしました。
〈改修前〉リビングダイニング
折り上げの勾配天井をもつ広く開放的なリビングダイニングを活かし、間取りは変えずに、建具や仕上材、家具などの内装や、キッチンや洗面、浴室などの設備、照明設備を改修していきました。
クライアントからは趣味で収集してきた小物や、絵画を飾りたいという要望をいただき、それらを引き立てる空間づくりを意識し設計を進めました。
額装された絵を際立たせるために、それ以外の建具や窓など、額に印象の近いものの存在をできるだけ消すことで、内装はただ絵の背景として存在するような構成とすることを考えました。
〈解体中〉壁から迫り出していた既存の窓台
〈改修中〉壁からの出っ張りを無くし、出角をトメの納まりとした
出窓の窓台や、キッチンの壁面などの造作部分は、出隅を小口の出ないトメ加工で納めることで、縁のないフラットな仕上げとしました。
日当たりの良いリビングの窓の窓枠は、熱伸縮による割れなどにも考慮し、枠を勝たせるつくりとしましたが、薄板を用い、且つ白塗装で仕上げることで壁と同化させ、縁や枠と感じさせないようにしています。
絵を掛けることを想定した壁面は、合板下地とすることでフックなどの金物などを設置できるようにし、設置跡などの修復もしやすいよう塗装仕上げとしました。
〈改修後〉壁面収納があるリビングダイニング
(木張り天井とカーテンボックスは既存、壁面収納と腰壁は新設)
仕上げの素材や色は、既存の木張り天井などの木部と合わせてシンプルな構成とすることで、クライアントの好きな絵や、家具や照明などがより引き立つようにしています。
リビングダイニング以外の居室も同様に、木部の色や質感を合わせ、腰壁を共通して設けるなど、全体を通して統一感を感じられるようにしました。
〈改修後〉リビングの腰壁とデザインを揃えた寝室のヘッドボード
〈改修後〉緑のタイルが象徴的なキッチン
〈改修後〉キッチンと同様のタイルを使用した洗面台
〈改修後〉色味を揃えた建具が並ぶ廊下
廊下とリビングダイニングとの間に上げ下げ窓をつけたいという要望をいただき、開閉位置を自由に設定できる機能を持ちながら極力シンプルに見えるような上げ下げ窓をデザインしました。
上げ下げ窓の枠や桟は木で製作し、表面に金物類が見えてこないよう試行錯誤を繰り返し、リビングから玄関へ空間の広がりを感じさせる良いアクセントになりました。
〈改修後〉廊下とリビングダイニングをつなげる上げ下げ窓
この時の制作ノウハウを基に、AIDAHOが長年続けている室内窓シリーズに上げ下げ窓が新しく加わりました。
〈改修後〉キッチンからリビングダイニングを臨む
クライアントの暮らしに寄り添い、それを鮮やかに彩るインテリアや絵画を支えられる住まいをつくることができました。