東京都江東区にある総合病院の検診センターを改修しました。
あそか病院は、1923年に関東地方を襲った関東大震災の時に日比谷公園につくられた救護所を前身とし、1930年に今の場所に開設されました。
今回の改修では、病院全体の改修を段階的に進めてゆく過程で場所を移すこととなった検診センターを、病院内で唯一健康な人が利用する場所として、他のエリアとは一線を画す新たなイメージを持つ空間へと創り変えました。
〈改修前〉接続棟3階にあった既存の検診センター
病棟を改修した後、元々は接続棟の3階にあった検診センターを病室へと改修し、外来棟の4階に新たにつくることとなった
検診センターの移動先は、外からの動線が良く、他のエリアともあまり接触せずに来られる位置にあった外来棟4階の会議室と、その周辺一帯のエリアとすることとなりました。
〈改修前〉外来棟4階会議室
外来動線とアクセスが良く、また、程よく距離が取れる位置にあった外来棟の4階会議室を新たな検診センターとして改修した
移動先である外来棟4階の一角には、検診エリア側の建物外部に面した開口部に加え、受付と待合エリア内部の光庭に面した開口部がありましたが、光庭上部に上階の建物が被っていることで、効果的な採光はできていませんでした。
〈改修前〉光庭を挟んだ向かい側から外来棟4階の検診センター予定地を見る
4階予定地側の光庭上部には5階の一部が迫り出して被っているため、影となり効果的な採光ができていない
加えて、光庭内部もメンテナンスをしてきれいな状態で維持することが難しい状況であっため、窓に空間の基調となる森の景色を映すことで目隠しし、外部には上階の建物を照らすように照明を設置して自然光を補うようにしました。
〈改修後〉検診センター受付から光庭側を見る
建物外部の窓の下から上部に向けた照明を設置し、上階底面を照らすことで、その反射光を上から注ぐ自然光のように見せている
〈改修後〉検査エリアから受付、ロッカールーム入口方向を見る
既に改修している病棟と合わせて、自然光と照明の光の境をできるだけ感じさせない、外光に近い光で明るさを補う自然な照明計画としている
厚みのある枠を設けることや、自然光を意識した照明計画を採用する等、既に改修が済んでいる病棟のデザインを踏襲しつつ、木部のトーンを少し落とし、植物の自然な緑色以外の色を抑えるなど、落ち着いた印象の空間とすることで、他のエリアと一線を画した新しいイメージの検診センターを実現しました。