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2015.10.13 AIDA TALK

スクラップとビルドのあいだ

先日、知り合いの建築事務所 A+Sa の手がけている住宅の建築現場を見学させてもらったのですが、建物の構造体の一部に、同じ敷地に元々建っていた住宅に使われていた構造材をリサイクルして使っているのを見つけて、とても感心しました。

同時に、古い木造住宅をリノベーションするとき、内部の仕上げを剥がして構造体が剥き出しになったときにも、部分的にリサイクルされた木材が使われているのを見つけたことを思い出しました。

今の木造住宅は、決まったサイズで大量に製材された材料に対して、機械で継手や仕口(材と材のジョイント部分)を刻むという方法で柱や梁をつくり、現場に運んで組み立てるという方法が主流なので、建物を丁寧に解体して古い材料を取り出し、新しい住宅に合うように加工して使うということはシステムに合わず、コスト軽減になるどころか、むしろコスト増になってしまう可能性もあります。

現代の日本は、大量に均一の住宅を供給できるようになっていますが、その代償として長く培われてきた職人の技やそれを後世に繋いでゆくシステムを衰退させてしまいました。

まだ十分に使える古い材料を細工して再利用するには技術が必要ですが、今はそのような技術を持つ職人は少なくなっています。

手刻み
手刻み2

今の家と違い、昔の日本家屋はほぼ自然素材のみで構成されていました。

塗り壁

今よりも腐食しやすく、脆い素材でつくられていながらも、長く住み続けることが出来たのは、定期的に手入れをするという習慣が根付いていたからだと思います。

木や土、石、藁など、なくなることはなく、どこでも手に入るような素材を使い、打ち込まれた楔や栓を抜くことで部分的な解体が可能という、保守性(maintainability)の高いつくりと、それを支てゆく技術を受け継ぐ職人達。

もちろん、このようなシステムが主流だった頃と今とでは状況が違うので、同じようにはいかないこともあると思いますが、業界全体が、このような持続可能なシステムを目指して、少しずつ変化してゆく必要があると思います。

今後益々増えて、問題化してゆくであろう空き家も、見方を変えれば資源と言えるのかも知れないし、また、新しく建てる建物も、未来の資源となるように考えてつくることも大切なのではないかと思いました。