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2015.09.03 AIDA TALK

「空く」と「壊す」のあいだ

最近に限らず、町を歩くときは建物を見ていることが多いのですが、まだ十分住める感じなのに人が住んでいない家をたまに見つけて、そこを通る度に「まだ空いている」とか、「まだ壊されていない」とか、思っています。

家づくりに携わる者として、まだ十分住めそうに見えるのに、人が住んでいなくて空き家になってしまった家は、なんだか見ていて寂しい気持ちになります。まだ住めそうな家が、ある日通ったら解体していたりすると、凄く切ない気持ちになってしまいます。

いえかいたい

仕事でたまに、長い間空き家になっていた古い一軒家をリノベーションして、新たな住人が入居した状態を見ることあるのですが、外観は空き家の時とさほど替わっていなくても、なんとなく家が喜んでいるように見えるときがあります。

つい先日も、3年ほど前に、実家だった家をリノベーションして賃貸にしたオーナーさんから、入居している人にも気に入ってもらって、住んでもらって嬉しいという連絡をいただき、とても嬉しい気持ちになりました。

ちょうど3年前の今日工事を始めた住宅でした。

家にはそれぞれ持ち主の事情があって、壊されるのはしょうがない場合もあるし、私達の仕事も、家を壊すことからはじまることもあります。

でも、まだ十分住めるのに誰も住んでいなかった家を、誰かが「住みたい」と思えるような家に生まれ変わらせるという選択肢は、今よりもっと広がってもいいのではないかと思います。

私達も、あいだを考える建築事務所として、「空く」 と 「壊す」 の あいだについて、既存の建物を活かした面白い提案をしてゆきたいと思います。